層状マンガン鉱床の辰砂

goito-mineral2005-10-03

辰砂
高知県香美郡土佐山田町穴内(あなない)鉱山 標本の上下約8cm





鮮やかな血赤色の辰砂。水銀の硫化物である。
この標本は中古生層の堆積性層状マンガン鉱床のもの。
日本各地の主に中古生層に発達する層状マンガン鉱床の成因には諸説あるが、海底火山の噴火の後、海中に溶けたマンガンなど重金属元素が化学的に沈積したとする点ではおおむね一致を見ているようだ。こうして辰砂が見出されることも、それを支持するものだと思う。


趣味の採集者から見ると、「マンガン鉱山の辰砂」とは、現地でこれを目的に探すと見つからないけれど、気にしていないと出くわす感じといわれている。もっとも、奥多摩や埼玉県のいくつかの鉱山や、この穴内や同じ高知県の韮生鉱山など、辰砂をわりと豊富に産した鉱山はあるので、必ずしもその限りではないのかもしれない。東京都下、白丸鉱山の通称「赤壁」を叩いていても、ときどき真っ赤な辰砂のパッチが顔を出すことはあった。見た範囲では最大径1cm程度である。また「赤壁」は主に曹長石からなる岩石であり、マンガン鉱床としては縁辺部にあたる。この穴内鉱山の標本も、石英とカリオピ石らしき鉱物からなる石に鉱染状に辰砂が入っているものだ。やはり、マンガン鉱石としては低品位の部分になる。





土曜日は鉱物の同好会の会合に出てきたんですが、意外にみなさん、このブログをごらんになっていて驚きました。なんだか鉱物の話題が少なくて申し訳ないんですが、まあ、そこはそのときの関心の向くままにやってるので、堪忍していただければと思います。


というわけで。