視点・論点「まん延するニセ科学」

いまさらですが、ウチでも貼っておきます。大阪大学教授・菊池誠氏によるニセ科学批判。



マイナスイオンゲルマニウムブレスレット、「水からの伝言」、そしてゲーム脳をあげ、実に的確に問題点を指摘しています。あまりにぴたり、ぴたりと手際よく批判が加えられているので小気味良いほど。


このなかでも言及されているように、「ゲーム脳」などについては、たしかに真面目にとらえている教育関係者がいるのが大問題です。「非科学的なものを事実のように」教えていることが最大の問題です。
友人に首都圏某県で高校理科の先生をしているひとがいるんですが、一昨年だったか彼が学校からの研修で「ゲーム脳」の先生の講演をききに行かされたということがありました。それより以前に彼とは飲みの席で「ゲーム脳」のまやかしについてチラと話をしたことがあったので、ぼくのところに「詳しく教えて」というメールが来たんですね。
彼は講演をきいて「なんだか変だ」と思ったんで尋ねてきたんですが、返信で「×君はやっぱり理科の先生だから、すぐに変だと思えたんじゃないの」と答えました。
もちろん、理科の先生であろうが社会の先生だろうが、この程度の論理的なおかしさは即座に気づいて欲しいものですが、高校教員の研修でゲーム脳の森教授を呼んでしまう埼玉県の(あ、書いちゃた。まぁいいよね)教育委員会だかなんだかは、やっぱり相当に問題でしょう。教員の皆さんに「研修」を行うのに、きちんと言説を検討することも、論理的な思考もないがしろにして、いい加減なマスコミと情緒に流されていたんですから。


その友人には、斎藤環さんのインタビューほか「ゲーム脳」批判のわりとまとまった文章を載せたサイトのURLを送っておいたんですが、その後、ある仕事で関わった某三大紙の記者氏に「お恥ずかしい話ですが、ウチのデスク以上の者にも『ゲーム脳』を真に受けているのが何人かいまして……」と言われてひっくり返りました。
この国の文系はアホですか、と。
しかし、理系でもこの手の疑似科学を信じているひと、信じていないんだけどシニカルに飯の種にしているひとはいるので、一概に文系だけを批判することはできません。


話を教育関係に戻すと、先の友人とは別の、もっと年上の(団塊よりちょっと上)理科の先生とこの手の話をしたとき「先生は科学教育の徒として、教育の現場で『ゲーム脳』なんて妄説の話が出たら、徹底的に抵抗しなきゃダメですよ」と言ったら、「あ、そう。でもそういうこともあるんじゃないの。うふふ〜」と、曖昧に逃げられたことがありました。
このひと、地団研なんですが、自分の意見は絶対いわず、とにかく言質を取られないようにするのが板につきまくってる。まぁそんなものかと。