渋谷駅頭の不思議な募金活動



仕事の関係で、週に一、二度は渋谷駅を通るのだが、このところ、いつも新潟中越地震災害義援金の募金活動をしている男女がいる。
厚さ3センチ、縦横15×20センチくらいの紙の募金箱を胸に抱え、箱には「日本ボランティア」と書いてある。
災害復興支援や募金自体はまことに結構なことだし、ぼく自身、はてな義援金をはじめ、些少ながらコンビニのレジの募金箱にはお金を入れたりしている。だけど、当たり前のことだけれど、募金をする場合にはした先が信用できるかどうかが決め手になる。


その点、渋谷駅頭の彼らには不安がつきまとう。
いや、人を見た目や風体だけで判断しちゃいけない、と思うのだが、みな、表情が一様に見える。もちろん、そう見えるのはぼくの判断にすぎないのであって、それなら黙ってスルーしてウェブで書いたりしなければいい。


などと考えていたわけだが、でも……さすがに、これは……? ということがあった。
一昨日の昼、信号待ちをしていたら、彼らの一人が後ろから声をかけてきた。
若い男性である。身なりが薄汚れていたり、顔なども汚かったりするのは、まあいいだろう。そういう人もいます。仕事明けのマンガ家なんか、ひどいもんです。
しかし、この声のかけ方はないだろう。


「にいがたの、じしん。 にいがたの、じしん」


「新潟の地震に募金をお願いします」とかじゃないのだ。「にいがたの、じしん」である。それも、何度も。後ろから、横から声をかけてくる。メッセージとして機能してないだろそれ。相手にどうしてほしいのかを伝えてないだろ。
なんだか、デパートの試食コーナーで「いかがですか」でも「おいしいですよ」でもなく、ただ「ドイツの、ソーセージ。 ドイツの、ソーセージ」とかいわれたようなもんだ。吉田戦車のマンガじゃないんだぞ。