いつのまにか夏のロックフェスも普通になっちゃったなあ……。でもモリッシーは来ない。来ません。


書き下ろし原稿のため、「コミック・ゴン!」1号をあらためて開く。目的は「少年ジャンプ」関係の資料なんだけど、おいおい、もうこれ7年も前の本かよ……。時間経つの早すぎ。
これに所載の「美少女エッチ漫画の基礎知識」(泊倫人名義)が、ぼくがマンガ評論家として最初の一歩を踏み出した仕事なわけだが。そういやこれ、まだパソコンじゃなくって、文豪mini5で書いてたんだよな。ファイルが編集部で読めなくて大変だったんだ。

エロマンガ家・ひんでんブルグを、まるで蓮實重彦小津安二郎を読み解くように語る人がいるとは……!!」という身に余りすぎの感想メールをもらったり(嫌味でじゃないですよ。為念)、永山薫さんから電話がかかってきたりと、その後の展開を大きく規定する仕事だったといえる。しかしですよ、ということは、物書きとして一人前になるには10年かかるというのは本当なのかも。いまようやく最初の単著を書いてるところだもんな。
でも、ペースとしては悪くないかなと思っている。とにかく早く本を出すことが先決、という考え方があるのは知っているし、世の中は広いからそれが有効な局面があるのかもしれないが、ある程度中味のちゃんとした本を書いたほうがいいに決まっている。そりゃそうでしょ。語るべきことも何もないのに、ページだけは埋めなきゃという苦労ばっかり滲み出てる本とか見ると、情けなくなってくるもの。

今度の本は、「批評」としてはおよそヨチヨチ歩きの本になるでしょう。もとより「マンガ評論」というジャンルで、本当に「批評」と呼べる水準のものは数少なく、そこでどうすれば「批評」が成立するかという方法論も共有されていない。そのなかでどうにかやっていくわけだが、ヨチヨチ歩きならヨチヨチ歩きなりに、できるだけ遠くまで歩いて行こうと思っている。