明晰夢

夜中に消防車と救急車のサイレンで目が覚める。それ以降、なかなか寝つけず。これはぼくには珍しいことだ。のび太なみ、とまではいわないが寝付きのよさだけは病的なレヴェルなので(これはマジでいっている。過眠症の診断基準のひとつが、脳波が睡眠状態のそれに移行する時間、「睡眠潜時」の短さにあるからだ。通常、5分以下を異常とする。ちなみに、ぼくの場合は8秒……なかなかどうしてのび太に迫る数字*1)。

さらに寝付けないどころか、その後朝まで妙な夢を見っぱなし。しかもそれが「これは夢だ」と自分で分かっている「明晰夢」というヤツだったからタチが悪い。いましがた自分の見た夢についてあれこれ考察している夢を見て、その夢がまた……という無限ループ。朝方はなぜか実写版『アキラ』の中に自分が入り、つまり「これは映画だ」という認識を持ちつつ、その世界のなかに入るという視点で、『未来世紀ブラジル』みたいな車で「お茶の水博士」がやってくるというシーケンスを見ていた。それはとても奇妙な体験だったが、そうか、自分が内部に入る形式の「映画」ではモンタージュはこのように処理されるのかとか、20年前の作品でも現在の『PLUTO』でも「マンガ史」への言及は等しく手塚になってしまうのか、やはりここ20年のマンガ史は「歴史」として認識されていないのだな、とか考えていた。後半は間違いなくいま書いている原稿の内容から来ている。

夢にでてきたお茶の水博士の髪は黒く、月宮あゆのようなかばんを背負っていた。

*1:のび太と、『サルまん』に出てきた「眠り人 眠太郎」は過眠症である疑いが濃厚。とくに眠太郎は寝入りばなからレム睡眠に入るが、これはナルコレプシーに特徴的な症状である。竹熊さんにきいたら、それは知らなかったとのこと。参考:http://www2s.biglobe.ne.jp/~narukohp/3100.html#Q103