田中ユタカ『しあわせエッチ』(蒼竜社)

エロマンガである。それも愛する二人のラブラブぶりのみを描くというものだ。しかし、その甘ったるい主題を真っ正面から捉える揺るぎのなさという点で、ぼくは以前から高く評価している。具体的にはコマ割りの技巧的な妙にそれを見るのだが、久しぶりの今作は、コマ運びのキレがまた一段増した感じだ。唸らされた。絵にはいささか、荒れたような印象があるのだが、マンガとしてみると、正面から幸福な感情体験としてのセックスを描くのだという覚悟のほどというか、凄みは以前よりも鋭くなったように思う。
 これは想像でしかないのだが、読者を慰撫する機能に徹底して特化したマンガをここまで描き続ける作者は、「絶望」を知っているのではないか。世界の理不尽を知っているのではないのだろうか。
 やはり「世界はひどい。だけど人生は素晴らしい」*1のだと。

  • 昨日のコメント欄にも書いたけれど、景気回復の兆しは本当にそこここに見られているようだ。ぼくが目にした/耳にしただけでも、タクシー待ちの列が長くなっているとか、株の動きがバブル前夜のそれに似てきているとか、郵便物の動きが活発になってきているとか……がある。

    景気がよくなると、お金のまわりがよくなるだけでなく、気分としても新しいことがはじめやすくなるんじゃないかと思う。いずれにせよ、期待したいトコロ。
  • ひきつづき過眠傾向。「はてな」に向かうくらいしかできやしない。週刊誌記事程度のものでも頭に入っていかず。ルシドリールなど飲むも効果なし。下痢もひどい。こうやって症状が悪くなると、ものの考え方もネガティヴになる。いちいち「おまえは病人なのだ」といわれ続けている感じだ。都合20時間ほど絶食状態。

*1:前にも引用しているが、ドイツのテクノ・ポップバンド、デア・プランの歌詞