桑沢デザイン研究所キャラクターメディア研究ゼミ(CMR)の同人誌のお知らせ



森川嘉一郎さん、竹熊健太郎さんと共同で指導にあたっている「学生に同人誌を作らせてコミケで売る」という試みですが、昨年、一昨年に引き続き、今年も無事コミケ出展にこぎつけました。


12/30日(火曜日)、西ホール"と"ブロック 14a
「キャラクターメディア研究」

http://homepage2.nifty.com/akihabara/cmr/books.htm
→サイトトップ:http://www3.to/kuwasawa/


※追記:28日(日曜日)、東ホール"ト"19a 「油水」でも委託販売しています。
    一日目は行くけど、三日目は行かないよという方はこちらをご利用ください。


よろしくお願いします。当日はぼくも設営から入っています。
詳しくはウェブサイト(これも学生が作っています)をご覧ください。




……で、終わらせてはもちろんいかんわけで(笑)。


昨年はショートアニメ、一昨年はゲームと「キャラ」を軸に中心となるメディアを変えてきた当ゼミですが(昨年のアニメは同人誌に記事を掲載したうえでウェブ公開、一昨年のゲームはCD添付でした)、今年の核は「マンガ」であります。意図してそうなったわけではないのですが、今年からゲスト講師に退かれた竹熊健太郎さんの同人誌企画「Comicマヴォ」とも呼応した感があります。
いまのマンガ業界に風穴を開けんという試みである「マヴォ」とは同列に語ることはできないのですが、どちらも若いひとの「初期作品」を掲載しているという点では共通していますね。
 ※「マヴォ」については、「たけくまメモ」を参照ください。
  http://takekuma.cocolog-nifty.com/

マヴォ」とは、相互で委託販売しています。マヴォ」は欲しいけど東館(時間藝術研究所 東4"ユ"-07a)まで移動するのは面倒……というひとはこちらでどうぞ。


さて、今年の「iconopop」には、五名の作品が掲載されています。マンガを掲載している人数だけだと、そんなに一挙増加! というわけでもないのですが、今年は16ページからと、ページ数が違う。大増ページであります。


新学期、何がやりたいですか? と学生の皆さんに企画をプレゼンさせて何をやるかを決めるんですが、今年は四名のひとが「マンガ」を選択、いまだから言うけど、指導する身としては、その時点では安穏としていたわけですよ。四度、五度とネームの直しを繰り返す過程で半分は脱落するだろうから、と予想していたので。


ところが、いざ走り出してみたら、一人の脱落者もなく、かつまた夏休みからの途中参入者を一名加え(学校の制度的には後期から履修)、五名のマンガが掲載される運びとなりました。例によって、本格的に「読み切り」を仕上げたのは全員がはじめて。掛け値なしの”初期作品”、最初の一発であります。
ウェブサイトのほうにサンプルページが上がっていますので、まずは見てやってください。みなさん、力作です。
http://homepage2.nifty.com/akihabara/cmr/books.htm




ここで、みなさんよく頑張りました。先生は嬉しいです……と古典的なセリフで締めてもよいところですが、そうはいかないのがこのゼミの特色でしょう。


そもそも「同人誌をコミケで販売する」という前提からして、あまり例を見ないものなのですが、単に「指導しました→スキルが向上しました→(゚д゚)ウマー」というだけではなく、「外部の視線」を持ち込むことが肝要なのですね。


つまり、学生たちが為した表現行為は、同人誌を手にとってくれる、不特定多数のコミケ来場者の方々の目に触れることで、はじめて完結する。その緊張感のようなものや、あるいは、思いがけず自分の気づかなかったような美点を評価してくれるひとが現れるかもしれないという可能性(ずいぶん楽観的な可能性ですが、ないわけではない)に対して開かれることなどが、ここでは重要な要素となっています。


とまあ、以上が「コンテンツ教育」的な意義なんですが、今年もはじめての作品とは思えないレヴェルになっています。若い才気も感じられ、また、出来上がった紙面から「マンガを描くこと」の歓喜のようなものすら感じられ、あれこれ気をもみながら指導していて楽しかったです。指導というより一緒に作りあげていく感覚でしたね(学生の皆さんからすると、また違うかもしれませんが……)。




あとひとつ。
今回のマンガ勢には、女子四名のなかにひとりだけ男子が参加してるんですが(もうひとり『浦島太郎』のhiropoo君は厳密には「絵物語」)、彼、カッピー君のマンガがね、いいんですよ。いい意味で中二くさくて、ストレートで。いや本当に。


えこひいきってんじゃないんだけど、三年やっててようやく来た男子なんで、こんくらい持ち上げてもいいかなと。最初、彼が描いてきたネームを見たときには「小学生……? つかこれをオレにどうしろと……!?」と思いましたが、まるで赤ん坊が言葉を憶えるがごとくマンガ文法を吸収していくさまには、目を見張るものがありました。