島田虎之介週間
一昨日「ゲームラボ」の連載の原稿を入れ、今日「SPA!」の書評原稿を入れる予定です。あと「Smart」の書評と、NTT出版のウェブサイトではじまる書評もあります。お題はすべて島田虎之介の新作『トロイメライ』。
- 作者: 島田虎之介
- 出版社/メーカー: 青林工藝舎
- 発売日: 2007/07/25
- メディア: コミック
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これがね、本当にすばらしいんですよ。
今回の狂言回しはピアノ。植民地用に作られたドイツ製ピアノ「ヴァルファールト」。「巡礼」の名を持つこのピアノがどういう存在かは、グーグル検索をかけてみると分かりますw。
読んでいてピアノ曲が聴きたくなり、家にあるわずかなクラシックのCDでグレン・グールドのバッハなど聴いていたんですが、なんかしっくりこなくて、ジョン・ケージのプリペアド・ピアノものなど聴いていました。作中に出てくるピアノの音とは遠いと思うんですが、ケージの存在がすでに20世紀の歴史性を背負っていることと(それはグールドでも同じといえば同じなんですが)、暴力的に変形させられたピアノの音が逆にふさわしい感じがしました。作中でも、ヴァルファールトは最後の最後までずっと壊れているしね。悲しいことにぼくには教養がないので、これ以上のことが言えないんですが。
動画は、ジョン・ケージの1942年の作品『ホロコーストの名の下に』。演奏はトイ・ピアノ奏者として有名なマーガレット・レン・タン。
島田虎之介は、最初の作品『ラスト・ワルツ』から一貫して複数の人々の個人的な「小さな物語」が交錯し、収斂していく構成で語るスタイルをとっています。この新作『トロイメライ』では、それがさらに洗練され、かつ大ボラの吹きっぷりが大胆になっている感じなんですが、この構造は、東浩紀×桜坂洋『ギートステイト』ととても近いものなんですね。「ゲーラボ」の原稿を書いていて気づきました。
島田虎之介は、ラノベなどオタク的なカルチャーとは遠い存在と思われがちですが、想像力のありようとしては近いものだと思った次第です。セカイ系の次はシマトラですよと。
- 作者: 島田虎之介
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- 発売日: 2005/01/25
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