花村えい子『霧のなかの少女』

霧のなかの少女

霧のなかの少女



小学館クリエイティブ様から、いつも献本いただいている復刻シリーズの最新タイトル。
1966年から67年「週刊少女マーガレット」に連載された本格少女マンガであります。


パラ見した段階で、少女マンガにみられる「語り」の位相と人称の混在を示す例として、これはいいやと思い、即座にスキャンして武蔵美の講義で使ったところです。
お話も読まずに表現の徴候のみを断片化して抽出するのはあんまり(というか、全然)よくないんですが、これも「図書館の妖精」的な出会いと合理化しつつ、後から追いかける格好で読み始めています。
まだ前半三分の一程度まで読み進めた段階なんですが、これがまじで面白い。

北海道を舞台に、三組の親子関係が交錯し、大人の性愛に無垢な子供たちが翻弄される物語という風情(まだ全部読んでないので、曖昧な言い方にしておく)。いま読むと「そ・それはいくらなんでも……」という設定がドライブするものなんですが、絵や「語り」の叙情たっぷりの豊かさもあいまって、とてもシビれるものとなっています。
巻末解説に載せられた編集者(倉持功氏)の述懐によると、「本格的なメロドラマがほしいと考えていた」ところでの、花村えい子氏の起用であったということです。


詳しくは読了後また書くかもしれないが、なんというか、激しくリメイクしたら面白いだろうなという気持ちにさせるものです。現在のぼくは企画に関われる立場にないので、おかしな言い方なんですが「リメイクしたい欲」をくすぐられる感じといいますか。


とりあえず乙木一史id:otokinokiさんにはお薦めしてみたいところです。