『帰ってきたもてない男』と理系女子

移動中に『帰ってきたもてない男』を読む。

帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))

帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))



著者の小谷野敦氏の「学歴」へのこだわりに驚く。
巻末「春日茫々―あとがきにかえて」に、小谷野氏の「七か条の求婚条件」というのが載っている。これは谷崎潤一郎が大阪毎日新聞に「次の夫人の条件七か条」を載せたという故事を受け、いわば半分冗談で記したものだろう。


その最初の一項が「一流または一・五流大学卒または大学院終了」なのである。
この「求婚条件」は、おそらく一度結婚し、離婚した小谷野氏自身が「ともに暮らせる相性ののひと」という考えをもとに出した「条件」なんだと思う。よって、世の中的な序列とかそういうつもりで言っているわけではないだろう。もっとも、ぼく自身には自分のパートナーに対して学歴を問うというセンスがないので、およそ共感はできない(東大出の度し難いバカも知っているし、高卒で立派な人も知っている)んだが、それ以上に驚いたのは、「一流または一・五流大」に具体的な大学名が添えられていたことなのだ。
そこまで限定するか、すげえな、と。

なお、一流または一・五流大学というのを具体的に言うと、東大、京大、一橋、東京外語大、東京藝大、慶応、上智、早稲田(学部による)、ICUお茶の水大日本女子大東京女子大である。とはいえ、これらの大学卒業者でなくとも、知性と教養と美貌に自信のある方なら応募可である。



……筑波大でも大阪大でもダメかあ。
もちろん名古屋大も九州大も北大も東北大も入っていない。地方大学に厳しいなあ小谷野先生。あと東工大とかも「一流」には入れてもらえないようだ。となると、上記リストにある大学でも理系学部卒では小谷野先生に求婚できないのかもしれない。
もし単に小谷野先生の視界に理系女子が入っていなかっただけとしたら、それはとても残念な話だ。もとより女性との出会いの少ない理系男子を思いやっての深慮なのかもしれないが。