ジャンプコミックスに明け暮れの日々

毎日新聞社のフリーペーパー「まんがたうん」の仕事で、『HUNTER×HUNTER』をひたすら読む。ちょうど新刊22巻が出たタイミングだ。

HUNTER X HUNTER22 (ジャンプコミックス)

HUNTER X HUNTER22 (ジャンプコミックス)



面白いんだが一筋縄ではいかない印象。
もちろん編集部のオーダーは、「ぱふ」でやってる「ヒットまんがのしくみ」的なアプローチで、というのなので、もう読んでは考え、読んでは考えの明け暮れとなる。
ふつう「マンガ評論」という名で行われているものの多くは、単なる感想だったり、あらすじ紹介だったり、自分語り的なエッセイだったりするわけだが(そんなもので「論」を名乗るバカどももいた)、私はそういう方法は採らない。それやってる限り、「マンガ評論」は信用されないと考えているからだ。
そこで、『HUNTER×HUNTER』は「マンガについてのマンガ」、正確には「ジャンプでマンガを描くこと」についてのマンガであるというところまでは考えたのだが、その程度のことは、きっとすでに方々でいわれていることだろう。何重にも入れ子構造になってるメタマンガだということだが、「マンガ評論家」を名乗ってるひとはまずそんな気の効いたことはいってないんじゃないか。ウェブでは普通にいわれていそうだけれど。


ユート 1 (ジャンプコミックス)

ユート 1 (ジャンプコミックス)

ほったゆみ河野慶『ユート』一巻も読む。
ヒカルの碁』のネーム原作を担当していたほったゆみの新作ということで、かなり関心を持っていた。スピードスケートという題材も新鮮な感じ。かてて加えてジャケみたらショタっこがピッタリスーツを着てるんだよ!


しかし激萌えにはいたらず。
物語ものほうも、悪くない、悪くないんだけど全体に語り口の手堅さが地味さにつながってる感じがした。主人公が北海道・北見から東京に転校してくるところから物語ははじまるのだが、北海道では少年スピードスケートが普通にあり、東京では存在しないという落差を上手く使っている。その落差、距離が主人公と、北海道にいる彼のライバルに大きく立ちふさがるというのが、導入部にあたるこの巻の主題だ。
10歳の少年には、その距離は絶望的に大きい。それを語ろうという手つきはとても丁寧で、好感が持てるし、ちゃんと主人公の胸塞がる気持ちは伝わってくる。児童文学方面のひとからは、高い評価を受けるかもしれない。


しかしこのタイトルロゴのつくりはよくないでしょう。
変にハーフトーンで調子をつけてしまった分、パンチに著しく欠ける。もっといえば安っぽい感じがする。これでたいへんソンをしていると思う。
それに、ニートに見えるんだわ、ぱっと見。


今後の展開での盛り上がりに期待するだけに、余計に「マンガって難しいものだなあ」と思うことしきり。