メイヨ・トンプソン、『苺ましまろ』

病院帰りに吉祥寺のタワレコに寄る。
レコ屋に行くのも久しぶり。80年代特集ということで「BUZZ」を購入。音楽誌を買うのは何年ぶりだろう?
お店のなかをひとめぐり。
スージー・アンド・ザ・バンシーズの初期みたいな曲がかかっていた。
てっきりスジバンのレア・トラックスかなんかだと思ったら日本語詞。
誰かインディ・バンドだろうか。
メイヨ・トンプソン来日記念」ということでサイケデリック特集コーナーができていた。
メイヨ・トンプソンといえば、いま出ている「スタジオ・ボイス」にインタビューが載っていましたね。
実はメイヨ・トンプソンというかレッド・クレイオラはこれ↓くらいしか持ってません。

http://www.bls-act.co.jp/music/detail.php?wpid=458<id=26


むしろこっち↓で記憶してます(ファンの方には怒られそう)。

Ludwig's Law

Ludwig's Law



とはいえメイヨ・トンプソンと同じ「スタボイ」の誌面に載ったわけです。名誉なことです。




くだらない地口はさておき。
タワレコの後にアニメイトにも寄る。
病院の近くのラーメン店にばらスィー苺ましまろ』2巻を置いてきてしまったので買いなおすのだ。
これがもうちょっと単価の高い本だったら取りに行くところだが、交通費のほうがかかるのでいたし方がない。『苺ましまろ』は、一見、どうってことない「日常」を描いているようにみえて、極度に人工的な世界を描いているのだと思う。その「人工性」について作家がどの程度自覚的かは分らないが、意識して(あるいは、開き直って)人工性を押し進めているのだとしたら、そこには微かな狂気が見え隠れしているような気がする。
そもそも、作中の子供たちの様子を「リアルに」想像すると、これはかなり異常な世界だ。


苺ましまろ 3 (3)    電撃コミックス

苺ましまろ 3 (3) 電撃コミックス



しかし、それを「ほのぼの」と読ませている。シチュエーションは誇張されているが、それを誇張と読ませないよう細心の注意が払われているようにもみえる。こうしたことが「人工性」の所以である。
ここで「狂気」といっているのは、もちろん修辞であって、ばらスィー本人が頭がおかしいとか、そういうことをいっているのではない。為念。


それに1巻の冒頭、カラーマンガ中で「美羽」ちゃんの部屋に貼られているピンナップ、一見すると女性の水着グラビアに見えるが、これエイフェックス・ツインじゃないか? だとすると、作家は思ったより自覚的なのかもしれない。
途中から登場する「アナ」ちゃんの故郷がコーンウォールってのも怪しい。
コーンウォールといえば、エイフェックス・ツインことリチャード・D・ジェームスの出身地である。
そういえば「スタジオ・ボイス」の特集記事のコミックス・レヴューでは、山田和正君が「萌エレクトロニカ」という語を使ってこの作品を評していた。作者がテクノ好きなのはよく知られたことらしい。


いずれにしても、意外に一筋縄ではいかない作品だと思う。ただかわいい少女キャラが戯れているさまを描いた<だけ>の、萌えマンガのエンドメンバーだと思われがちだが、そんなに素直なものでもない。まぁ、エンドメンバーはエンドメンバーなんだけれど。
コマ割りのレヴェルでいろんな手法を試しているように見えるし、ときに70年代の高野文子を思わせることもあれば、これは小田扉か? というコマ構成を見せたりもする。
これでキャラがもう少し描き分けられていれば、とも思った。
最初、読んだとき「えーっと、これ誰ちゃん?」と何度も見返したものだったのだ。


さてアニメイトも久しぶり。
タワレコの客とつい比べてしまう。
年齢層は圧倒的にアニメイトのほうが低いですね。
目線が遠い女の子がいるのは、どちらにも共通している。
しかし、やはりテイストは異なっている。
なんでこう、オタのお客さんてのはなんか余裕のない感じがしますかね。
あまり楽しそうじゃないというか。




苺ましまろ』3巻はこれから読む。
電撃大王」でときどき見てはいたけれど、まとめて読むのはこれが最初なのだ。