仕事中、図書館で借りてきたグレン・グールドベートーヴェンをリピートで流している。
ひどくポップなものに聴こえる。
グールドを聴きだすようになってから10年くらい経つが、別に詳しくなったわけでもなく、いまだ「つまみ食い」状態が続いている。
別にそれはそれでいいんだけど、根がマニア体質なので、いざ「これ好き!」とロックオンするとがーっと突き進んでしまうところがある。などとうだうだ言っているということは、マニアックに音盤を揃えたり、ねりねり研究書を読んだりすると楽しいのが分かってて抑制してるってことか。

ああ、抑制してますね。
あとレイモンド・スコットとか中国玉器とかも。
玉器といえば、ロジン岩製の鼻烟壷が売りに出ている。ちょっと欲しい。買っちゃおうかな……。
翡翠製というふれこみだが、あれは間違いなくロジン岩だ。エンドメンバーの灰ばん柘榴石とクロム透輝石の組合せ。大学のころ、中国西域産のものを自分でEPMAにかけたことがあるのでよく知っている。日本のフィールドでみたことのあるロジン岩だと、葡萄石や加水柘榴石など水の入った鉱物が含まれていて、少し軟らかかったりするのだが、分析をした中国産のそれは本当に灰ばん柘榴石と透輝石のみからなっていた。おそろしく硬い岩石だ。よくあんなのを加工するもんだと思う。
ロジン岩は、糸魚川などでは翡翠の「キツネ石」として認知されているけれど、だからこそ逆にそういうものを使った工芸品は欲しくなる。欲しくなるよね?



「ひきこもり」36歳男性による両親殺害のニュース、心中くずれだったのだろうなと思う。
そこまでになる前になんとかならなかったのかと思うのは人情だが、やはり、ならなかったんだろう。
まったくの他人事のはずが、すこし悲しい気持ちになる。
http://www.asahi.com/national/update/1020/001.html




ディミトリ・フロム・パリ「ネコミミ・モード」。
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A017875/-.html

学校で学生が話題にしてたので試聴してみる。
……これ、そのまんまXROGERじゃん! いや、XROGERのほうがここにヴァイオレントな強度が加わるぶん、先に行ってたんじゃないか。やっぱり彼らは早すぎたんだな。

女の子声優の声から倍音成分が減っているというまことしやかな話があるが、アニメ声の快楽と電子音の快楽のカップリングが彼らの原則にはあった。そこで「ナードコア・テクノ」というくくりがいわれた訳だが(一部に、この語の提唱者をぼくだと思っているひとがいましたが、残念ながら違います)、オタカルチャーのネタモノをトラックに乗せるにしても、それぞれに方法論も違えばコンセプトも違ったわけだ。そのなかにあって、XROGER(現・八卦商会)は、もっとも臨界的な仕事をしていた。ひとことでいえば、アニメ的なカルチャーにも、テクノというフォーマットにも批評的に機能していたという意味でラディカルだった。メンバーにはそういう意識はなかったと思うけれど、そのぶん、自分たちの表現をシリアスに追い詰めていったのだと思う。

やはり彼らは早かったんだ。彼らの活動開始は、ギャルゲー的なものが前面化してくる直前、98年ごろだったわけだから。