がー君はいまイタリアか。


昨日、ごはんを食べながら『ウルトラセブン』のビデオを見ていた。近所の店で100円で売ってた中古ビデオを買ったのだ。「セブン暗殺計画」の回。ガッツ星人にセブンがはりつけにされ、処刑されそうになる話だ。ウルトラセブンのなかでも知名度の高い挿話だろう。

とはいえ、この話、あまり出来はよくない。
夕焼け空をバックに磔にされるセブンと、それを見上げる人々など、印象的なヴィジュアルの力で記憶されているが(それに何より、ヒーローの大きなピンチである)、しかしシナリオはかなりひどい。
ウルトラ警備隊がセブンにエネルギーを補給するのに「ダイモード鉱石」というものが必要になるのだが、それが「アフリカの原住民の間にしかない、特殊な宝石」という設定なのだ。それをどこから探してくるか? でサスペンスになると思いきや、物語の冒頭、毒蝮三太夫演じるフルハシ隊員のところにすでにそれが送られている。偶然、身近にあった、という展開なのだ。つまり、とても内輪で話が進行してしまう。宇宙人の侵略によって、セブンが処刑されるという、地球規模の危機の話をしているのに。


まぁそれが妙にのんびりした独特の雰囲気を出していて、それはそれで楽しいんだけど、キリヤマ隊長の「ダイモード鉱石……そんなものが日本のどこにあるというのだ?」とかいうセリフを聞いた途端、「この話、1967年とかだろ? だったら神田の『ぼたん』に電話すりゃ持ってんじゃないの? 櫻井欽一先生が」と、思ってしまった。


持ってるも何も、そんな鉱物、現実にはないんだけど。

ヴィジュアル的には緑色透明で柱状結晶、イメージとしてはエメラルドに近いが、あれはクロムの色じゃない。そういう意味では翠銅鉱のほうが近いが、実際にはアクリルに染料で色をつけたものだろう。
考えれば考えるだけ馬鹿馬鹿しい話なので、自分でも「そのように思ってしまったこと」の意味の分析は途中でやめているんだけど、実際、櫻井さんなら持ってそうだよな、「はい、サクライです」と、あの調子でウルトラ警備隊からの電話を受けそうだ、とか……バカな考えは勝手にどんどん頭のなかをめぐる。


やっぱウチの「はてな」は淡々と鉱物話をするだけではなく、『滿俺ミッドナイト』http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/comment?date=20031027#cとかソッチなのだなとあらためて思いました。自分を見失うところだったよ……。もーメチャメチャに人を選ぶノリですが、かまうものか

私はいちおう、地学教育の行く末などにも考えをめぐらす者ではありますが、一般的な普及啓蒙教育のノリからはとても遠いものです。また、鉱物趣味を地学教育の啓蒙手段に位置づけ、それのみに価値を見いだす考え方にはたいへん懐疑的なのです。

むしろ「趣味」としての自律性を重んじる感じでいます。「鉱物」は、コレクタブルだし、美的な存在だし、売買され、市場に残ることではじめて維持されていくマテリアルなのだ。こういうバカ話も含めて、ぼくは鉱物を楽しんでいる。そこまでが「趣味」なんだ。


つーことで、ひとつよろしく。