『マンガ産業論』を読みましょう

中野晴行マンガ産業論』(筑摩書房 ISBN:4480873465)読了。
マンガを「産業」という視点からみることで、マンガ史をクリアに記述している。マンガ読みがマンガ史を俯瞰しようとするとき、「いま、ここ」の私が読み続けてきたマンガ、という観点に縛られ、とかく世代論にスライドしがちな理由もここで明らかになる。一次データの記載も多く、本書を踏まえてさまざまなことを考えることができる。そのなかには、今後もマンガが産業として存続するには、何を考え、何をしなければならないかという提言も含まれている。読者から作家まで、全マンガ業界人必携の書だろう。
とくに大手出版社の社員は全員、読んでしかるべきだ。同じ水準のものをコンサルタント会社に依頼したら、1〜2000万円は請求されかねない内容だと思う。それが書店でたかだか1600円で買えてしまうのだから、まじで大手出版社は大量購入して社員に配るくらいのことはしてもバチは当たらないんじゃないか。