ポストモダンの資源元素

という言い方はできるのだろうか。ぼくは以前、「マンガンは近代の資源で……」ということを書いた。マンガンだけでなく、たとえばニッケルやタングステンモリブデン、クロムなどは近代以前にはほぼ用途がなかった。これらの金属は鉄鋼業の進展とともに用途が開発されてきたからだ。それは機械に用いられ、かつ兵器にも使われた。ウランもそうだろう。「戦略物資」という概念からも分かるように、これらの金属は国民国家という枠組みとはしっかり結びついている。
では、もし「ポストモダンの資源」というべきものがあるとすれば、その要件は何だろうか。まず考えつくのはアトピックであることか。特定の、あるいは固有の「産地」よりは、諸々の資源の副産物として生産されるもの、というのはいかにもポストモダンだ。そしてある技術にとっては必須だけれど、そこで使用される量は少量で、また常に代替物に取って代わられる可能性を孕んでいること。こういった条件が出てくるだろう。また、用途としてはIT産業に用いられることが多いとか。
といった条件で考えると、先に日記でちょっと話題にしたインジウムや、最近、アフリカでの採掘の様子をTVのドキュメンタリー番組でやっていたタンタル(携帯電話なろに使われるコンデンサには必須である)あたりは、「ポストモダンの資源元素」といってもよいのではないか。またそう考えれば、「これがインジウムの鉱石」といって提示することはできても、そこに「インジウム鉱物」を目視することのできない豊羽の鉱石のありようなども、なるほどポストモダン的にとらえられる(ある種の偶然だけれど)……などとつらつら考える。