買っちゃった。

The Danse Society "Heaven is waiting" 日本盤再発CD

後から「ぼくはじつは、このアルバムが好きだったのだな…」としみじみ思い出していた一枚。このところのニューウェーブ一挙再発の一環としてリリースされていたので、つい買ってしまった。オリジナル盤は1984年リリース。20年前の作である。

聴き直して、10代最後の夏の気分とかが思い出された。


ジャンルでいえば、ゴスに入るのだろうか。ジョイ・ディヴィジョンの影響下にあるポジティヴ・パンク・バンドである。安っぽいシーケンサーとシンセ、シャリシャリいうギター、切迫した、でもくぐもったヴォーカル。はっきりいって下手な演奏と唄。陰鬱で反抗的だけれど、その実、大したことをいっているわけではない歌詞。いわゆる「音楽性」という観点からみたら、とてもちゃちで、ひどく薄っぺらなものだろう。
それは、同時代のポストパンク・バンドであるニュー・オーダーやスミスなどと比べてもそうだと思う。


でも、ぼくはこうしたものを愛している。
相反する感情が、おのれの内で激しく衝突し、出口を求めてのたうち回るような表現。とても男の子な、真摯なんだけどあまりに不器用なやり方。ポストパンク特有のざらついた感触。
それがある限り、ぼくはこうしたものを愛している。
たぶんそれは、一生変わらないだろう。
「ポストパンク、ポストパンク、ポストパンク」と三回唱えただけで、目頭が熱くなってしまうほどだ。
その意味で、ぼくのある部分は、こういったもので出来ている。


このアルバムを聴きこんでいた当時のぼくは、全身で「男の子」だったわけだが、いまは「男の子」の部分を何らかの契機でふと、己のうちに見出したり、思い出すものに変化している。

そんなことを思いました。