あいかわらず石子順造を読む。今度は『コミック論』(石子順造著作集第三巻 1988)だ。ひとから借りている本なのだが、そもそも古本で購入されたもののようで、表3のところになぜか鉛筆書きで日記が書いてある。90年8月7日の日付け。早稲田でハンナ・アレントを買うつもりだったが買えず、とかの内容。文中に「革マル君」という友人が出てくるので、いつのものかと思ったらバブルまっさかりの夏。しかものび太の誕生日というオチが。


さてこの週末には、京都で益富地学会館主催の新年会がある。昨年は『網状言論F改』も出たことだし、自分へのごほうびの意味も含めて行ってみたのだが、今年はちょっと余裕がなくて行けない。昨年は京都旅行もかねて河原町京料理のお店に連れて行ってもらったり、大江理工社で石を買ったりしたものだけど。そうそう贅沢はできない。

しかし、京料理のお店「S」の料理は感動的に美味しかった。甘鯛の皮をあぶったの、お麩を上品に煮付けたの、鴨ロース……いや、鴨ロースももちろん美味しいんだけど、付け合わせのレタスまでがもう、これがもう……! あまりの美味しさに自分が何を食べているかも見失うほどだった。比喩じゃなく恍惚となった。ああ、世の中には本当にこういう体験があるのだなあ、『美味しんぼ』は決して全部が全部、嘘っぱちでもなかったんだな、とか思ったりもした。