プレートテクトニクス批判1973

この日記も、ずいぶん知人の知れるところとなりました。ウェブにおいて隠し事はできないので、まーいつかは知れるものだと思っていましたが。でもいいこともあります。プレートテクトニクス批判 新しい地球観をめぐるソビエト構造地質学』(1973)、『日本列島の成立 グリンタフ造山』(1973)を、ここを読んだ旧知の方からいただきました。ともにプレートテクトニクスに対する批判・抵抗の書です。現在では入手困難だと思います。ありがとうございました。
その抵抗の軌跡を読むのは、より強力なモデルが確立してしまったいまからすると、いささか辛いものがあります。だって、そこに書かれているさまざまなモデルや解釈、主張などをまずは疑って読むことになるので。もちろん、科学史的な興味で見るわけですが、現在から遡行して、逆説的にプレートテクトニクスの成立史をたどり直すという見方に落ち着いてしまいます。しかし、プレートテクトニクスにしても、ここで批判者たちが採用しているモデルにしても、それは直接の立証が可能なものではなく、ともに「モデル」でしかない。よって、一旦は彼ら批判者の側の視点に寄り添い、さらにそれを捨てる体験をする、という読み方になるのではないかと思います。
敗残し、見捨てられた書、という読み方も酷だとは思いますが、しかし、これらの書のバックボーンとなったソビエト連邦科学アカデミーもすでになく、消え去るものは消え去っていくのだとも思っています。