紳士諸君、エンジンをスタートさせたまえ

goito-mineral2003-12-19

高橋しんきみのカケラ』2巻を眺める。実質的に描きおろしのようだ。連載等の活動の一切を停止する、との告知から約1年(実質9ヶ月)、どういう事情があったのかはわからない。「少年サンデー」誌上の連載も再開するとのこと。
たしかに宮崎駿的な意匠の使用が目立つ作品だが、その一点だけでダメだしをしたのでは、せっかくの作品のよさを見逃してしまうように思う。そうではなく、ここから、たとえばマンガ表現において垂直方向の運動をどう表現するか、という命題を石森章太郎にまで遡って説きおこすことも可能だろう。さらに「垂直の運動」という一項をもって、逆に宮崎駿との関係もとらえなおせるのではないか。パクリだとか影響-被影響関係という単純で皮相な見方からもう一歩踏み込むことで、作品そのものも、作品相互の関係も一段と鮮やかに喜ばしく見えてくる。
その点、オタクを自認する諸氏の一部は、せっかくのごちそうを前にしながら、「武士は食わねど高楊枝」と強がっているように思える。