広末

かつて私は、『20世紀ノスタルジア』の試写を、広末涼子の舞台挨拶があるからという理由で観に行ったことがあったのです。その程度には広末には入れ込んでいました。女性タレントにああまで関心を持ったのは、あれが最初で最後だったかもしれません。いまにして思えば、中学生のころから二次元のキャラへの欲望のほうが卓越していましたから。しかし、いま、ここには、広末の結婚の話題に接しても「ふーん」としか思わない自分がいます。歳を取ったということなのでしょうか。




………………いや、それは嘘だ!
 

なんというか、広末の結婚話からは、かすかではあるが強く、何かが終わってしまったような感慨を憶える。90年代後半からこっちのある時代がひとつの区切りを迎えたような。広末とは時代と寝たタレントである、というところまで話をデカくするつもりはない。しかし、彼女がここ7〜8年の趨勢を象徴するものを背負わせたくなるキャラであることも確かだろう。大学進学率の異常な上昇とか、早稲田大学のイメージの下降とか、そういったところからはじまり、あといますぐには上手く言語化はできないけれど、自分に期待されるイメージに対して敏感であり、クレバーであるほど、隘路に入る、といったところとか。それは何も、無垢・清純→堕落、というほど直線的なイメージではなく、こうなるより仕方なかったんだよ、というほどの嘆息と諦念と、でもそこにわずかな希望も見出そうというものというか。……このまま続けていくと、なしくずし的に自分語りに突入していくので、このへんでよしておきましょう。ここ3年ほど、広末の動向については横目でチラチラ見ているという程度でしたが、そうか、オレはいまでもじゅうぶんにファンであったのだな、と再認識いたしました。今後も横目でチラチラ見続けますよ。きっと。