google検索「鉱物産地最新情報」でここへ来た方へ。


リンク元表示を見ていたら、「鉱物産地最新情報」というキーワードで検索してこの日記にアクセスした方がいらっしゃいました。
ウェブに情報を求める気持はわかります。鉱物採集をはじめて、もっと採集がしたいと思っても、よいガイドブックは少なく、同好のひとと知り合うきっかけもない、といった状況にあったら、ぼくも同じようにいろいろなキーワードで検索をかけてみたことでしょう。
ですが、そういったものはウェブには基本的にありません。産地情報、それも「いいものがいま採れる最新の産地」の詳細な情報はネットには書かない、書くとしても慎重に行う、というのが不文律というか紳士協定なのです。ウェブに流れた情報をもとに、多数のひとが短期間に現地に訪れると、ひとりひとりには悪意もなく、それなりにマナーも守っていたとしても、必ず地元とトラブルになるからです。ある日を境に、突然、他県ナンバーの車が次々とやって来て、よく分からない人間が何人も何人も山に入っていったら、それだけで地元としては気味が悪いでしょう。さらに、鉱山跡などを掘り返していくわけですから、あとにトラブルの種が残ることとなります。これも程度問題で、はじめのうちは、地元の方も「へー。ここでそんな珍しいものが出るの?」という感じで、ときには一緒にお茶を飲んだりとかもあるのですが、それが次々とひとが訪れるようになると態度が一変します。まず、第一の問題は、訪れるひとの数と、短期間での集中です。のべ人数は同じでも、長期間にわたって少しづつひとが来るのであれば、地元の態度はそれほど変わりません。
また、山間には山間の土地の事情があり、たとえば田畑に水を引く水源を壊してしまったりすると、そこには二度と立ち入りができなくなります。目立たないものだと、知らずに壊してしまうこともある。また、悪気はなくても想像力の働かないひとだと、わりと平気で地元のひとの神経を逆なでするようなことをいってしまう場合もあります。不特定多数の見るウェブでの産地情報公開→採集禁止、という流れはなかば必然で、ひとことでいえば、産地情報を公開した結果に対して責任の取りようがないのです。
ぼくらにしても、何も意地悪して産地情報を秘匿しているわけではありません。しかし、相手の人品骨柄を見て、このひとならば信用できるだろう、という判断があってはじめて、産地へ案内できる、という歯止めをかけています。また、初心者の方の場合、現場でのふるまい方ややってはいけないことを実地で伝えられないと、かなり心配なのです。以前、日記で「鉱物オタ」について書いたことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20031020#p2)、産地情報を取引材料のように使い、自分は労せずに収穫を得ようというひともいます。普通に考えて、常識のないひともいます。当然、そういうひとは警戒します。
さらに追記しておくならば、ぼく自身は、ここ数年「いま、どこそこの産地で日本新産の××鉱が出ている」「どこそこで水晶がたくさん採れる」「大きなガーネットの結晶が……」といった情報をもとに、速攻で現地にかけつける、という行動はほとんどしていません(白丸鉱山などは例外)*1。自分たちで資料を繰り、現地踏査を繰り返して開発した産地を基本にしています。既知の大産地でも、少し違った見方をするとか、これまで顧みられていなかった場所を探るとかの方法を取ることで、新知見を得ています。自分たちで探査をしたほうが何倍も楽しく、また成果のあることに気づいたからです。

*1:そんなに頻繁に採集にでかけられない、という事情もあります