小学館問題、読売新聞「本よみうり堂」に出ました。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20080625bk01.htm


先日、コメント取材を受けた件です。
係争中の案件ということで、記事自体はとても慎重なトーンになっています。
ぼくのコメントも、記者氏と検討のうえ、いくぶん曖昧なものになっています。
新聞社が配慮をする理由(小学館側が読売新聞を訴えるという展開を避ける/報道の中立性を保持する)は理解しましたので、それに従いましたが、元のコメントとの異同は以下の通りです。
記事をよく読めば、ニュアンスは伝わると思います。ただトーンを慎重にするだけではなく、どうにか意図を伝えるべく記者氏も考えてくれています。


記事「マンガ家が出版社に対して異議を申し立て、反響を呼んだ」 → 元「多くの人々に支持された」
記事「出版社側もさまざまな社会の変化に対応することが求められている」 → 元「出版社側も社会の変化に対応すべく、業務の見直しを図ることが急務」




一方、某所できいた話では、いまのところ小学館社員には危機感がまるでないんだそうです。
大手マスコミ人にありがちなことですが、ネット言説自体を小馬鹿にしているのかもしれません。
ぼくは今回の件を、マンガ業界の構造的な問題に小学館社内の問題が重なった結果、噴出したものととらえており、これを機会にマンガ業界全体の抜本的な改革を望むものではありますが、本当に危機的な事態まで進まないと内部のひとにはピンと来ないのでは? とも思っています。今後、少しずつ業界全体の状況改善がなされていったとしても、当の小学館は最後まで取り残されるのではないかとすら危惧しています。「危機感がないらしい」という話は、そういう感慨を起こさずにはいないものでした。
他方、某社の編集者氏からは「影響は3〜5年後くらいに出ると思う。新人を育てて、ヒット作を生むようになるまでそのくらいの年月がかかる。そのときはじめて小学館は事態の深刻さに気づくんじゃないか」という意見も伺っています。


もちろん、小学館の編集者すべてが駄目だと言っているわけではありません。
そんな環境のなかで、それでも誠実にがんばっている編集者やマンガ家の方々が必ずいると思います(直接に知遇を得ている編集者の方にも、とてもよい方はおられます)。
ぼくにできることはほとんどありませんが、どうか、挫けずにがんばってくださいとしか言いようがありません。きっと危機感もお持ちだと思います。マンガ評論という言説の力は、いまのところ微々たるものですが、できることなら、そういった方々の力になりたいと願っています。