またTBSか

すでにご存じの方のほうが多いと思いますが、TBSの番組「アッコにおまかせ」で「初音ミク」を取り上げた際に取材時の説明とは違う、オタクをステレオタイプ的に揶揄する内容のものを放送したようです。
初音ミク」の製造元に「謝罪文」が掲載されています。「謝罪」という体裁を取っていますが、事実上、これはTBSに対する抗議と受け取るべきものです。こうした「局」の取材を受けてしまったことについての「謝罪」ということです。
http://blog.crypton.co.jp/mp/2007/10/1014.html


番組自体は未見ですが(ニコ動で見られるようなので、手がすいたら見ようと思いますが)、またTBSかよ! と思いました。
オタの問題だとわりとウェブで温度の高い反応が出てきやすいんですが、これはオタに限ったことではないでしょう。最初にTV局が決めたストーリーに「現実」を合わせてしまうという手法がここでも用いられたようです。


ぼく自身、テレビ局の、とくに報道バラエティ関係のひとに対してはかなり構えるのですが(ニュースや報道バラエティ番組のコメント依頼は原則としてお断りしています)、嘘をつくことにかなり鈍感になっている人がいるようですね。そのくせ、「風評被害」を生んでも責任は取ろうとしない。もしかすると、今回の「初音ミク」の事件も、何がどういけなかったのかさっぱり分らないという反応をするひともいるかもしれないし、一部のオタが騒いでるだけ、一般の視聴者には関係がないという合理化もあるかもしれません。


以前、比較的に(例外的に?)良心的と思われたテレビ人の人と接点を持つことができたので、「アキバホームレス」報道映像の検証ページhttp://www.geocities.jp/kotoba_mamoru/finger_pointing.htmlを見せたことがあったんですが、なんと「情報番組にありがちの捏造ですね」という答をいただきました*1。……てことは、この手の「捏造」は常習化してる??


その方はTV局の中で、それでもなんとか真っ当な「報道」をやろうと考えている(が、そのために深夜帯の番組しか出来なくなっている)人とのことなんですが、ぼくの「『報道』されるのは、なべて俗情と結託した俗説・通説に添ったもので、科学的な検証や他者に対する想像力は排除されがち」という指摘に対しては、すべての番組がそうではないが、しかし社内で考えている者は少数であり、自分も含めて「何となく、低俗さに甘んじている」と返されました。
ただし、低俗なものに視聴者が食いついてくる傾向がある限り、根本的な「治療」は難しいとも。


でもねえ、「視聴者は低俗なものを好む。低俗じゃないとウケない」って、送り手の側の勝手な思い込みなんじゃないかという気がしてなんないんですよ。それって「視聴者はバカですから」といってるのと大して変わらない。そして、前にもこのブログで書いたことがありますが、受け手をバカにしていると、仕事の内容はいくらでも手を抜くことができてしまいます。手を抜くための「言い訳」が先に用意されてるんだから。


テレビ局の方がここを見ることはあまりないと思いますが、皆さんに言いたいのは、あなたがたが現場仕事にかまけ、無駄に朝まで飲んだりしているうちに世の中はどんどん先に進んでいるということです。人々はTV以外の媒体で情報を得たり、あるいはTV番組を検証する手段も、異議を申し立てる手段もすでに得ています。状況はそれだけ変化しているということです。


今回の「初音ミク」の一件も、TV人が現状を見ずにいるうちに大きく立ち遅れてしまったことを象徴する事件のひとつに数えられるんじゃないでしょうか。

*1:テレ朝のひとではありません。為念。所属局、個人名は必要ないので伏せておきます。引用部は私信の一部ですが、公開を前提とさせていただきますとの文言を添えたメールに対する返答ですので、文意を変えずに引用しています。