野に山にSPK

CDをひさしぶりに引っ張り出してきて聴くシリーズ。
SPK『Auto-Da-Fe』。いまは亡きアルファレコードから出た日本盤CD。オリジナルのリリースは83年、CD化は93年です。この日本盤はリリース当時3枚くらい買ってたら、いまヤフオクかなんかでプチ利殖ができたなと思う盤ですね。それにこの間、中古レコ屋できいた話では、このところまたノイズ/インダストリアル周辺のブームが来てるんだそうです。どうも10年に一度くらい「来る」ものらしいですね。


Auto Da Fe

Auto Da Fe



アマゾンへのリンクはUK盤。岡崎京子東京ガールズブラボー』で犬山のび太くんが持ってるSPKのアルバムは、ロゴの位置から判断してこのアルバムっぽいす(アナログ盤はデザインが異なります)。ちなみにジャケ写は清朝の刑罰の写真、裏ジャケには首吊り自殺死体の写真があしらわれています。そもそも「オート・ダ・フェ」ってタイトル自体が「宗教裁判」って意味だし(「異端尋問」だったかもしれない……いま調べたら…こんな感じでした。http://encyclopedia.thefreedictionary.com/auto-da-fe リンク先まだちゃんと読んでませんが、これって「モンティ・パイソン」のあれの元ネタ?)。ことほどさように、とりわけヴィジュアルに死体だの奇形だの妙な手術だのと、悪趣味で残虐なものに満ち溢れているのが、初期SPKの特徴なのです。


アルバムの本体は初期のガリガリの電子ノイズの嵐+わりと端正なインダストリアルものなんだが、この人たちの魅力はやっぱり暴力的で露悪的な意匠の背後に見え隠れする音の「美しさ」なんじゃないかと思いました。悲鳴に引き裂かれるような、一瞬一瞬の美。散文的な表現だけどそんな感じ。それはとても安っぽいものかもしれないが、しかし奇跡のように存在する。SPKは10代のころから好きだったんですが、30代後半になってようやく「よさ」が分かってきた気がします。


あと、ナチ(?)の演説をフィーチャーした、とても禍々しいファシズム・イメージの佳曲、"Walking On Dead Steps" の歌詞が本当に何度聴いてもききとれない。グラエム・ラヴェル先生のヴォーカルがヘンにくぐもってるせいもあるんだが、どうもこれ、英語とドイツ語のチャンポンらしいんですね。
とりあえずネットで検索して "leatherhboy and bondagegirl ... angstpop, krankpop, angstpop, krankpop, angstpop, krankpop, angstpop, krankpop, 1 2 3 4!" といってるというところまでは掴みました。ほかに「ブラッディ・シャツ、ユニフォーム」とか「ファッショ・アゲイン」とかいってるように聞こえるんだがどうなんだろう。「1,2,3,4!」は、もちろん「アイン、ツヴァイ、ドライ、フィーア!」であり、まるで号令のように叫ばれています。