読む時間なんかないのに本を買うの巻。

どうして書店て場所にはああ「いま買っておかないと!」と思わせるものがあるかなあ。
確かに次から次へと新刊が出る昨今、うっかりしてると店頭からすぐに消えてしまうという事情はあります。で、見かけなくなるとその本の存在を忘れてしまい、結局読む機会自体が失われると。


昨日は打ち合わせで久しぶりに神保町に行きましたよ。
神保町は危険な場所です。明倫館書店、コミック高岡、ディスクユニオンと私の購買意欲をくすぐりまくりの三店が並んでいるのです。明倫館は理系の本に強い古書店で、鉱物関係の資料を探すときにはデフォルトの店。コミック高岡はいうまでもなく、ディスクユニオンは変なジャーマンものとかフレンチ・アヴァン・ポップやらが充実している(最近行ってないので今は違うかもしれませんが)。ホント、よりにもよってなんで三軒なかよく並んでいるのかと思いますよ。


この危険地帯には近寄らず、でも本屋には入り、買っちゃったのがこれ。


漫狂画人―飛鳥昭雄の漫画人生

漫狂画人―飛鳥昭雄の漫画人生



あすかあきお、知ってるひとは知っていますね。「サイエンス・エンターテイナー」です。思わず後ろに(笑)をつけたくなる肩書きですが、ようは疑似科学をマンガでオモシロおかしく描き続けてきた作家です。何冊か持っていますが、マンガとしては(ものにもよるけれど)、基本的に「お仕事」感の後ろに正体不明の「キチガイ力」(これは褒め言葉で使っています)が見え隠れするもの。そのマンガ家の自伝的なエッセイというのが本書です。まだパラパラとしか見ていませんが、やはりなんとも、不思議な感じのするものです。なぜ横組み? とも思ったし。
どちらかというと……根本敬系の因果物件のような気がしてなりません。根本用語でいうところの「レコード」でしょうか。


漫画に愛を叫んだ男たち トキワ荘物語

漫画に愛を叫んだ男たち トキワ荘物語



同じくマンガ家の自伝的評伝本です。刊行からずいぶん時間が経ってしまいましたが、ようやく購入。コメント欄にもよくいらしていただいている長谷邦夫先生(id:nagatani)のご著書です。
担当のウエクサ君が「泣けますよ」といっていたし、関心はずっとあったのですが。




しかしその前にこれを読んでしまわないといけない。


「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画



少し読んだ範囲では、今後、映画とマンガの関係について言及するときには避けて通れないスタンダードな書となる予感がします。思えば、マンガの世界では「映画的」という語は(「文学的」と並んで)実にいい加減に使われてきました。四方田犬彦の『漫画原論』や石子順造の『現代漫画の思想』などにも映画と対比してのマンガ論は展開されていますが、その観点でまとまったものではなく、むしろマンガに独自の表現方法を見ようとするあまり、マンガと映画の「差異」を強調しようとした感があります。だいいち竹内オサムの杜撰な"理論"がまかり通ってきたのが現実ですから、ことマンガと映画にまつわる言説状況の貧しさは推して知るべしでしょう。


そんな現状を変える一冊になるかもしれないなと思っています。ただ、まだ全部を読んでいないので少し慎重になっておきます。