「しなければならない仕事が詰まってくると、部屋がキレイになるの法則」

書き下ろし作業、はげしく煮つまり中。
「あと少し」という構えのせいで、妙に肩に力が入っているのがいけないのか?


なんだか机の周りを片付けだすの巻。
資料の山の下から、阿部和重アメリカの夜』、村上春樹『約束された場所で』、ミルチャ・エリアーデ『ダヤン・ゆりの花陰で』が出てくる。ここ三ヶ月くらいで、こんなの読んでたのか自分、と思う。


エリアーデ宗教学者として知られていますが、これは幻想小説。昔に筑摩書房から出た版ですね。「宇宙の真理」を知ることをめぐる『ダヤン』は、短いながら重厚な印象。学生のころ読んだときは、無闇に難解だと思ったんだが、再読してみたらそうでもなかった。登場人物の配置がいい。むしろ寓意としてわかりやすい。
一方、亡命ルーマニア人たちが主人公の『ゆりの花陰に』は、たいへんシリアスな空気が流れているのに、同時になぜか軽妙な感じがした。幻想小説としてはベタといえばベタなオチなんだが、そこが軽めのショート・ショートっぽい味わいとなっている。諸星大二郎の短編のような読後感だな。


ぼくが読んだ筑摩書房版は絶版のようだが、両作とも小説全集第三巻に入っている。
http://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/book/kaigaibungaku/tanpin/20243.htm


エリアーデ幻想小説全集〈3〉1974‐1982

エリアーデ幻想小説全集〈3〉1974‐1982



全集、ちょっと欲しいが高いなぁ。全部そろえると15,000円超かー。