今年の授業計画を提出しないと。

今年度からコマ数が増えました。
講師業をはじめて四年め。
昔とったキネヅカってやつで「アシスタント実習」ってのを担当してきました。マンガの背景の描き方を一年間かけてやるというものです。最大で20人程度を相手に「お習字教室」方式でみっちりと。三年やって、どうにか教え方のカンどころはつかんできたので、ちゃんと受講してくれれば一年間でまあひととおり描けるようにはできると思ってます。もっとも、いかんともしがたい場合もありますけどね。


ぼくは不器用で大して絵も上手くないので、仕方なく分析的になるしかなかったというのが、いまになって幸いしていますね。最初に浦沢直樹氏のアシスタントに入ったとき、三日目にいきなり『MASTERキートン』実戦投入、という怒涛の展開から今日に至っているわけです。
当初は、一ヶ月間は本番の原稿には触らず「練習」をするという話でした。その間は、ぼくは前任の人と並行して仕事場に来るという段取りです。しかし、ぼくが入った直後に前任者のIさんが椎間板ヘルニアで入院。仕事に入れない旨を伝える電話に浦沢先生は「いいよ、伊藤君がいるから。大丈夫」とヒトコト……あの、ぼく、いまここで実戦投入ですか? 
……それから12年。半泣きで原稿に向かっていた当時に比べるとずいぶん図太くなったもんです。


今年度からは「アシスタント実習」に加えて「マンガ論」も担当します。
マンガの主にコマ構造の仕組みを機能に分解し、先行する作品を学生と一緒に分析していくというゼミ形式のものを考えています。今年いっぱいくらいは試行錯誤でしょう。マンガ表現論の技術的応用、という感じでしょうか。意外にこういう試みはされてきていないように思うのですが。