ボタラック石

goito-mineral2004-11-15

ボタラック石 Botallackite
福井県小浜市松ヶ崎内外海(うちとみ)鉱山小山上坑 画面の左右約2cm



アタカマ石、パラアタカマ石と同質三像関係にある、clinoatacamiteと多形関係にある。海水と銅鉱物が反応してできたもの。この内外海鉱山も日本海に突きだした半島の先端にあり、よくこんなところを掘ったものだ、という場所である。海面から十数メートルほどの高さに開けられた水平坑の、入り口付近の天井から採集したのだが、坑内に魚を入れる発泡スチロールの箱が転がっていた。海が荒れたときなどは、この高さまで波しぶきがかかるのだろう。かなり怖ろしい。陸路でのアプローチも困難をきわめ、断崖絶壁の上を密に茂ったイバラや笹などをかき分けて行くほかない。わずか二キロを進むのに四時間もかかったといえば、どんな状態か知れると思う。「行けるもんなら行ってみろ」という程の気分なのだが、行けばアタカマ石くらいはあると思う。後に行ったひとの話だと、海岸の断崖絶壁に一面、緑色のところがあったそうだから。

後にコーンウォールの原産地(Botallack)と同じ地域のLevant鉱山のボタラック石も入手したが、やはり褐鉄鉱のうえに密生する、同じような小結晶の集合だった。操業当時の絵をみると、こちらも大西洋岸の崖っぷちに小屋がけをして採掘していた。ずいぶん似ているものだな、と思った。


内外海鉱山のボタラック石は、ぼくらのグループが採集したものが日本で最初の記載となった。
でも、もう二度とここに行く気はしない。



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