goito-mineral2004-11-04

なんだか、すごく身近な筈だったひとが、とても遠い存在のように思えたことが二題。


ぼくも一応はマスコミに名前を出して仕事をしてるので、自分の名前を雑誌やひとの日記で見るのも単に日常になっていますが、かつてとても身近だったひとのことを、雑誌やウェブで見たとき、本当にただメディアを介してしか知らないひとのように錯覚したという経験を立て続けにしたのです。もう数年来、会ってないってのもあるけど。
そこでなんで、自分の事を引き合いに出したかというと、さっきコンビニで「SPA!」を見たら自分が書いたマンガの書評(宮本福助拝み屋横丁顛末記』3巻)が載ってて、ああ、図版はもうちょっと花のあるコマを使って欲しかったな、などと思う反面、どっか遠い誰かが書いたもののように感じたってのがあったからなんですね。

まあ、冒頭に書いた感覚ってのは、それとも少し違うものなんだが。


中平正彦破壊魔定光』、10巻を買う。
ヒロインが変身ボディスーツ(妙な言い方だがニュアンスは伝わると思う)を着るの巻。フェティッシュな意味で来ました、個人的に。あとこの作家には、どこか手塚治虫の匂いを感じる。フラットな描線のせいか、質感を操作する表現のせいか。ことこの10巻からは、『火の鳥』望郷編を思わせるものを感じた。それはSF的な意匠の使い方のせいなのか。だとすると共通の参照項があるってことなのか。そこまではよく分からない。


アメリカ大統領選、ブッシュの勝ちが確実のようです。とてもシニカルな気分になります。
島田虎之介のマンガ『ラスト・ワルツ』に出てきた、13の国に分裂したアメリカ、というのが頭をよぎりました。案外、ぼくらが生きている間に、そういう事態に出くわすかもしれないな、と。
西海岸は「ウチ主導で汎太平洋経済圏を作りましょう」といい、中部の北半分は「ウチはカナダみたいなもんだから」といい、東海岸は「ウチはEUの一員です」という。そして残りが「神聖原理主義アメリカ」となる……などと妄想。
しかし「アメリカ」のなくなった未来ってのは、いまのいままで考えたことがありませんでした。可能性としては皆無ではないはずなのに、何百年経っても、ずうっと変わらずアメリカだけはあるような気がしていました。




「ぱふ」の原稿もやらないと。
これは今月末売りの号に掲載なのかな? 不定期ながら好評(らしい)連載、「ヒットまんがのしくみ」第四回、『鋼の錬金術師』の巻です。


書き下ろしマンガ批評書、ようやく終わりが見えてきました。NTT出版から来年刊行予定です。当初の予定より半年以上も引っ張ってしまいました。しかし、まだまだ安心してはいけません。