石子順造『俗悪の思想』を読む。今日は雨になるとは思っていなかったので洗濯などをし、干せなくなりコインランドリーへ。
本日、頭のなかで鳴っていたのはSPKの"INVOCATION"。ガリガリのエレクロニック・ノイズをやっていたSPKが、コマーシャル・エレ・ポップ路線を経てたどりついたノイジーかつアンビエントな似非エスニック音響モノの一曲。民族楽器とエレクトロの混交が気持ちいい1987年発表の佳品だ。SPKはこの曲を収録したアルバム、"ZAMIA LEHMANNI"でアヴァンギャルドに回帰した感があるが、暴力的なノイズ時代から一貫して、そこはかとない安っぽさと分かりやすさがあると思う。彼らは一方でドゥルーズ=ガタリフーコーに触発された難解なテキストをレコードに添付したり、死体や奇形の写真をヴィジュアルに用いたりと、いかにもインテリ然とした思想性で知られるが、ぼくはむしろ彼らの魅力は、ノイズも含めて楽曲の可読性、「わかりやすさ」にあると思っている。後に中心メンバーであるグラエム・レヴェルが映画音楽のコンポーザーに転じたのも頷ける。



ひさびさに鉱物の話題を。

思いがけず、福島県郡山市赤沼の直閃石後の滑石と緑泥石の良品を手に入れることができた。こういう、地味めでコモンな種の良品ってのは手に入れやすそうで意外と難しい。これは嬉しい。
いちおう緑泥石としているが、苦土蛭石や金雲母かもしれない。直閃石+金雲母の組み合わせによる同心球状の集合は「ヘルマノフ球 Hermanov ball」として売られている。チェコのヘルマノフという土地から産する、なかなかユニークな奇石の類で、国内では堀ミネラロジーなどで取り扱いがある。前はこれをたくさん持ってくるディーラーが新宿ショウに来ていたが、最近はあまり持ってこなくなったようだ。花こう岩ペグマタイトとかんらん岩の接触部に生成しているとのことで、その条件は福島県赤沼と同じだ。いま手元にある赤沼のものは球ではなく、1〜2センチ幅で直閃石のバンドがあり、その間を雲母様鉱物の結晶の集合が埋めている。雲母様鉱物の結晶の間が何かは細かくてよくわからない。青みがかった灰色の粘土様鉱物だ。
赤沼でヘルマノフのようなボールが出たという話は、いまのところ聞いていないのだが、ひょっとすると出ているのかもしれない。少なくとも可能性はある。