イアン・カーティス24回忌

佐藤心くんと話をしていたら、英語の第五文型の話題になった。
このあいだの日曜日、東浩紀くんid:hazumaの事務所でみんなで酒かなんか飲んでて、まえきゅうid:mae-9が、東くんに「第五文型、何だかいえるか? S+V+O+Cだよ。例文書いてみ」とかなんとか詰め寄られ、「え〜。主語述語目的語形容詞ですか〜?」とかなんとか答え、おまえホントに受験したのかよだのなんだのと責めたてられてたんだそうだ。すべては伝聞なので、どういういきさつでそういう受験勉強ネタになったのかは分からない。ここまでの文章は、ぼくが勝手に「再現」している。そのつもりで読んでもらいたい。

で、佐藤くんが「伊藤さん、第五文型っておぼえてます?」というので、「そんなのあれだろ? Love will tear us apart. だろ?」と答え、あまつさえこの例文を紙に書いてまでみせたのだ。まー英語の「五文型」なんてのは、受験英語ではとてもポピュラーだが、実用に使えるという意味での英語力とはおよそ関係ないものだよな。


http://www.gem.hi-ho.ne.jp/goto-ken/lecture/lecture02-3.html
ここをみると "Love will tear us apart" は第五文型でいいようだが、この文言はご存じのとおりジョイ・ディヴィジョンの曲名にして、自殺したヴォーカリストイアン・カーティスの墓碑銘である。

……はっ! 今日5月18日は イアンの命日じゃないか!

なんてことだ。こんな日にそれと気づかずにイアンの墓碑銘を話題にしていたとは!

佐藤くん! イアンは! イアン・カーティスはね! 80年代のとば口でその絶望を一手に引き受けて死んでいったんだ! 死んでいったんだからね! などとなかばネタで口走ってみたわけだが、ちょっと落ち着いて考えれば、彼の死をむやみに物語化するのはよくない。当然のことだけれど。アメリカ・ツアーへの出発前日に首をくくったとか、残されたメンバーが後にニュー・オーダーとなる経緯とかには、ときに切なく、あるいは感動的なバンド・ヒストリーがあるわけだが、だからといって、いや、だからこそ「死」を美しく装飾するべきではないだろう。
しかし、しかしですよ。たとえばあの名曲、"LOVE WILL TEAR US APART" の陰鬱な美しさを前にして、やはり我々は過剰な物語化への誘惑にとらわれるのである。

むー。ネタで落とそうと思って書き始めたのだが、結局マジになってしまった。




<参考リンク>
Joy Division Lyrics
http://www.lyricsdepot.com/joy-division/love-will-tear-us-apart.html

*以前、「イアン・カーティス ヴァーチャル墓参」というページがあってそこで彼のお墓の画像をみることができたのだけれど、いま検索してみたら見つからなかった。移転したのか、消滅したのか。マンチェスター郊外の共同墓地(だったと思う)にあるイアンの墓碑はとても小さく、IAN CURTIS 18-5-80 LOVE WILL TEAR US APART と刻まれている。墓参ページから下ろしてあった画像もあるけれど、それをアップするのはやめておきましょう。