175ライダー

つけっぱなしのNHKで、イナゴライダーを追っかけた番組をやっている。バンドヒストリーものだ。しかし、このバンド、いいのかね? ファンのひとには申し訳ないが、ちっともいいとは思えない。何のヒネリもないベタな歌詞とか楽曲が、とかいった批判もできるが、それ以前にヴォーカルの声が好きになれない。妙な艶があるので、そこがウケているのかとも思うけれど、好きになれないものだから、その分、ひょっとすると良さを見落としているのでは? と自省しつつ、またこうして話題にしているのだから、何かひっかかるところがあるのでは? などとも考える。
だが、やっぱりこれ、ダメだろう。ダメなんじゃないか。この凡庸さは何だ? とも思う。ジャンルこそ違えど、表現にはそれぞれの「達成度」や「強度」のようなものがある。それは厳然と存在する。
本業であるマンガのほうだと、とかく「ダメ」とされているものの擁護に回ることが多いのだが、それでも「これは褒めちゃまずいだろう」という自分内チェックはそれなりに働かせている。そういうときには、できるかぎり真剣に判断をしている。オレはその程度には自分の感性を信じる。


ああ、なんとなく分かったような気がする。彼らは「バンド」が好きで、「音楽」は手段なのだろう。広い意味での美への指向が感じられないのだ。ファンの多くは、彼らの存在自体を愛好しているのだろう。「音楽」そのものではなく。そのことはいい。否定しない。好きにしてくれ。でもね、ぼくは「音楽」が好きなんだよ。