ハガレン

goito-mineral2003-11-22

某社での打ち合わせの席にて。
「『鋼の錬金術師』って、初版80万部刷ったんだそうですよ」
「まじすか。……すごいっすねえ。こないだ6巻買おうとして、どこもかしこも売り切れてて、結局7軒めでようやく見つけましたからねえ」
「まだ読んでないんですけど、面白いんですか?」
「面白いです。……ていうか、ハガレンを読んでないなんて、絶対に人生を損してるよとか言っちゃいますよぼくは」
「なんかなー、そこまで言われちゃうとなあ(笑)。そこまで言いますか」
「……って、あれ? このテンプレート知らないですか? 元はKANONをやらないなんて、絶対に人生を損してるよ』っていうんですけど」
「そんなのあるんですか」
「ええ(笑)」

初版80万部。売れているものが常によいものだとは思わないが、優れた作品がきちんと売れることは、とてもよいことだと思う。先日、西武線沿線の書店をまわり、ことごとく売り切れという状況に出会った体験は、まるで自分が小中学生に戻り、欲しいマンガを探し回った一日をたどりなおすかのようだった。それは、とても喜ばしいことに感じられた。
今年、多くのひとの「語り」を呼び込み、高い温度で迎えられたマンガは、この「ハガレン」と「NANA」、「ハチミツとクローバー」だと思っている。もっとも、これはぼくの周囲を見渡してのことで、それなりに若いひととの接点はあるとはいえ、小中高生まで射程に入れての判断ではない。ぼくの視界に入ってこないような場所で、やはり熱く迎えられている作品もきっとあるだろう。あるいは視界に入ってきても無意識的に見ずにすましてしまっているようなものもあるかもしれない。ただ、いまのところ、ぼくの視点からはこの三つの作品が突出しているように見えている、ということだ。そう判断するに至った回路、その根拠については、さらに内的な問いが可能であるし、問われるべきであろう。