マル島-ムル石
スコットランドにマル島という島があります。つづりはMullです。
ぼくにとっては「ムル石」の原産地ということで記憶されていた土地です。「ムル石」*1は、アルミニウムの珪酸塩の、たしか高温低圧側の鉱物として重要な位置をしめていて(うろ憶えで書いています)、あと陶磁器の成分となっている(これもうろ憶え)ものなのですが、なんといってもムルという音で強烈に印象づけられていたのでした。
しかし、ネットであれこれ見ていくと、どうもIsle of Mullは、「マル島」なんですね。
原音主義にも限界はあり、すでに親しんでしまった鉱物名はそれはそれでいいんじゃないかとは思っています。カナ表記にした時点で「日本語」なわけだし。"Fergusonite" は、「フェルグソン石」で通用しており、英語読みで「ファーガソン石」としてしまったら、それはもう通じないでしょう。もとはスコットランドの物理学者、R.Fergusonにちなんだ命名ですから、原音に従えば「ファーガソン石」になるはずなのですが。
以前、加藤昭先生に「あれはどうしてファーガソン石ではなくドイツ語読みのフェルグソン石なのですか」と尋ねたことがありました。先生も昔、同様のことを柴田秀賢先生に尋ねられたことがあったのだそうです。そうしたら、柴田先生は「(フェルグソン石のほうが、英名を書くときに)つづりを間違えなくていいじゃないか」とお答えになったんだとか*2。
それはそれとして、マル島というところは、一度、行ってみたいところです。鉱物趣味をやっていると、単なる観光、というのがだんだんできなくなってくるのですが(どこに行ってもなんかしら石を探してしまうから。都会でもまず石屋を探すし)、ここは観光でも行ってみたいと思いました。