竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』論文博士号問題について

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宮本大人さんから詳細な背景説明と見解が出ました。
とりいそぎお知らせしておきます。


しかし、会ったこともない宮本君に「論文の助手をしないか」といきなりもちかけてくるあたり、竹内一郎氏というひとは相当にツラの皮の厚い方のようです。また、事務所のウェブサイトなどの様子から判断するに、あまり熱心にインターネットを見るひとではないのではないかと推察します。たぶんエゴサーチもしないんじゃないかな。
もしぼくが彼で、ここ二週間ほどの状況を見たら、きっと死にたくなると思います。人々がさかんに話題にしているのに、その結果がほぼ全部批判ってのは、つらすぎます。 
YAHOOブログ検索:竹内一郎 手塚治虫


とはいっても、この状況は、彼一人の責任ではないでしょう。
むしろ、竹内氏も「被害者」といっていいのかもしれない。故・日下翠氏に「その気」にさせられ、ロクな指導も受けられず(これは、日下氏が病没されたためだけではないでしょう。日下氏の著書のレヴェルを見ると、もし彼女が健康を保っていたとしても、同じような結果になったことは予想されます)、また「論文審査」という形で正当な評価も受けられず(言い方を変えれば、まともに取り合ってももらえず)、あげくにうっかり受賞をして、もっともシビアな世間の耳目にさらされてしまった……。


今後、よほどのリカバリーがないかぎり、マンガ研究・批評の場、とくに大学では竹内一郎氏は色眼鏡で見られるでしょうし、本も売れないと思います。実際『手塚〜起源』もさほど売れていないそうです。
その程度にはこの「市場」はまがりなりにも健全に機能している―質の低いものはちゃんと淘汰されている―ということですが、つまり、竹内一郎氏がマンガ研究・評論でやっていこうとしても、すでに道は相当に険しいものになってしまっている。閉ざされているといっていいかもしれません*1


竹内氏本人にとっては、マンガ評論など余技であって、どうでもいいことかもしれませんが、普通に考えて、これ、五十階くらいに上げられてハシゴを外された状態ってやつなんじゃないでしょうか。
結果として、みんなでよってたかって、彼をそんな悲劇的な場所に追いやってしまった。もちろん、本人にも責任はあるわけですが。



*1:講談社の御用評論家とか、テレビのコメンテーターとかいった道はあるかもしれません。また、私が強く危惧するのは、万が一にも竹内氏が、自分の置かれている状況を既存のアカデミズム(や、マンガ言説人)の旧弊さや閉鎖性などのせいにし、超古代史を語るトンデモの先生のような攻撃的な振る舞いに転じることです。それは、誰にとっても不幸な事態でしょう。だから、可能性としては低いかもしれないけれど、竹内氏には次は文句なくちゃんとした仕事をして欲しいと願っています。